さわかみ関西独立リーグ06ブルズのエース、川咲寛司【side B】

新型コロナウイルスの影響で開幕延期―
前代未聞の事態に、今選手たちは何を思っているのか。
オンライン取材で今、過去、そして今後のことを聞いてみました。
第1回は06ブルズのエース、川咲投手をピックアップ!

 

野球って楽しいな

「今野球ができない状況を考えると、野球って本当に楽しいんだなって思います」

 06ブルズのエース、川咲寛司投手がふと言った。

緊急事態宣言後、ブルズの本拠地、花園セントラルスタジアムは使用不可となった。そのためチーム全体練習ができなくなっている。

 

「本格的な練習はできないですね。集まっても家の近い選手数人でキャッチボールができたらいいほうです。今はフィジカルトレーニングとか、ランニングとか公園を使ってネットスローをしたりしています」

 

課題と目標

 高校時代は野手で、八尾ベースボールクラブ入団後に投手に転向。トレーニングを重ねていくうちに結果が出たことで、上のレベルを目指したくなった。そして兄・勇司さんがかつて在籍していた縁もあり、2018年途中に06ブルズに入団した。

 

2年目の昨年は、主に先発で10勝3敗、最多勝のタイトルも獲得した。開幕からコンスタントに勝ちを重ねたが、苦しいシーズンだったという。

 

「去年初めて1年間シーズン通して投げることになったのですが、調整など、しんどいシーズンでした。

 

試合が進んでいくごとに体にハリとかが出てくるようになり、村田監督や草間(サトル)さんに調整方法やケアについてのアドバイスをもらいながらなんとか1年やり切った感じでした。

 

最多勝は獲得したものの、『これでいけるんじゃないか』という手ごたえみたいなものはなく、毎試合必死に投げているうちに、タイトルを獲っていたという感じでした」

 

(2019年6月29日 花園セントラルスタジアム)

 

さらなるレベルアップに向けて

2019年6月5日、関西独立リーグ選抜と千葉ロッテマリーンズ二軍との一戦。

 

2回裏の二死一二塁という場面で出番はやってきた。

 相手打者は細谷圭。チャンスにはめっぽう強いクラッチヒッターだ。


その1球目を細谷は狙ったが、打球は力ないファーストゴロとなった。細谷は何を打ったのかがわからないといったような表情で天を仰いでいた。投げたのはアウトコースのスライダーだったという。

 

そのあとも投げ続け、ピンチこそ背負ったが、2回1/3イニングを淡々と、無失点に抑えた。

 

「いつも捕手の山北(耕平)さんと、バッターが嫌がる配球について話をしています」

そう語るように、ゴロアウトやポップフライが非常に多い。カーブ、スライダー、チェンジアップ、ツーシームを駆使し、打たせて取る。川咲が投げると試合のテンポが速い。

 

「でもNPBのバッターは甘いところを見逃してくれないですね。ちょっと甘いところに行ったなと思ってもこのリーグなら打ち損じてくれますが、NPB相手だと甘いところに入ったらまず見逃さないですし、ミスショットも少ない。それをすごく思いました」

 

そういったことも踏まえ、今季テーマにしていることがある。

 

「三振を取りに行くときに三振を獲れるようになりたいです。先発すると長いイニングを投げないといけないので、バランスが難しいんですが・・・オープン戦は結構三振を獲れていたので、もっとレベルアップしていきたいなと思っています」

 

  今、練習ができないことについても大変だというがこれについてはきっぱりとこう言った。

 

 「もっと長いイニングを投げないといけないとは思いますし、球速もコントロールもよくしないといけない。開幕はできないんですが、NPBに行くことは変わらないのでそこに向けてトレーニングをやるしかないなと思っています」

 

印象に残る試合-50分後のストライク

 

8月25日、堺シュライクス戦に先発した川咲。しかし7回二死、カウント3ボール2ストライクとなったところで突如大雨が降りだした。そこから50分ほどの中断が始まった。

 

グラウンドは水が浮き、とても野球ができる状況ではなかったが、試合は再開された。

(中断直後のスコアボード 50分後、この状態から再開された)

 

この中断後、1球でストライク・見逃し三振を取りチェンジ。8回表の攻撃中に再度大雨が降り、ブルズが降雨コールドで勝利を収めた。

 

「シャワーを浴びながら試合をしているようでした。ストライクが取れたのはたまたまでした」というが、グラウンドがぬかるむ中で、きっちりストライクを取ったのはさすがの一言だ。

 

今季の目標と決意

 

 「個人としてはNPBに行くというのが大前提の目標です。そしてチームとしてはあと一歩のところで優勝できなかったので、今年こそ優勝して東大阪市を元気にするきっかけになったらいいなと思っています」

 

 開幕はまだ不透明だ。しかし、その決意をもって練習を続けていれば、きっと恐れるものはない。開幕戦のマウンドで圧倒的なパフォーマンスを、そして秋に笑えるように川咲はその日を見据えトレーニングを続けていく。

 

———————————————————————————————————————————–

 

川咲投手が選ぶ さわかみ関西独立リーグ この選手がすごい!

 

  • 出口航平(06)・・・トレーニングがストイック、食べる量も運動量も半端じゃない。一人違う世界にいるような気がする
  • 岡田海(和歌山)・・・ストレートも早いし、三振を取ることができるのがすごい
  • 吉田亘輝(堺)・・・コントロールがよく三振が取れる。

 

川咲寛司投手プロフィール

1997年9月11日生まれ 右投げ左打ち

阪南大高―八尾ベースボールクラブ―06ブルズ

2019年成績 17試合 10勝3敗 防御率3.65

 

(文・写真 SAZZY)