試合を開催するにあたって欠かせないのが、審判員の存在。どうして審判員に?なぜさわかみ関西独立リーグに?在りたいと思う審判像は?
今回は、さわかみ関西独立リーグに所属する審判員、塩崎雄己さんへのインタビューを通じて、その色んな答えに迫ります。審判目線で見る観戦ポイントもお見逃しなく。
さわかみ関西リーグ最年少の育成審判員
(撮影:SAZZY)
さわかみ関西独立リーグ(以下カンドク)に在籍する12名の審判員(2020年6月現在)のうち、育成審判員として活躍している塩崎雄己(しおざきゆうき)さん。現在香川大学に在学中の19歳です。
カンドクで審判をするのは、今シーズンで2年目。今年は、夏休みなどの長期休暇を利用しながら、大学生活と審判員活動の両立を目指しています。
審判を目指したきっかけ
(撮影:SAZZY)
小学生まで野球小僧だった塩崎さんは、中学生になってから野球をやめ、吹奏楽を始めました。しかし時がたつにつれ、野球への思いが大きくなったと言います。
「野球をやめたものの、やっぱり野球が好きだと気づき、野球に関わりたいと思いました。でもブランクができてしまったから、野球選手を目指すのは難しい。そこで選手以外で野球に関われる方法を考えたんです。それが審判になることでした。」
進学先を香川大学に決めたのも、審判員になるという夢を叶えるため。塩崎さんの通う夜間コースの授業時間は、18時~21時。これなら夜は大学生、昼は審判員として両立できると考えたのです。同時に、玉砕覚悟で多くの連盟にアプローチを始めました。
「審判の練習をさせてほしい、という内容のメールを色んなところに送りました。まだ高校生だったので、断られることも多かったです。BFL(さわかみ関西独立リーグの前身)にもメールを送りました。見学なら可能ということだったので、何度も試合を見学しに行きました。」
カンドクで審判をする理由
断られてもめげずにメールを送り続けた結果、草野球や高校野球など、様々な場所で練習ができるようになりました。その後、活動の場にカンドクを選んだのには理由があります。
自身が神戸出身であり関西に愛着があること、BFLで試合を見学していたこと、そしてカンドクで審判長を務める竹本裕一(たけもとひろかず)さんに出会ったことです。
(撮影:SAZZY)
(トライアウトの様子)
「高校3年の1月。審判の練習をさせてもらっていた草野球でお会いしたのが竹本さんです。色々なお話を聞かせていただき、大学生になってからカンドクのトライアウトを受けることにしました。」
今の自分はまだ経験を積んでいる最中
(撮影:さかたえみ)
(昨年の兵庫ブルーサンダーズ対インパルス戦。カンドクで初めて球審を務めた)
何もわからない状態からスタートした審判への挑戦。成長するには今後もより多くの経験が必要だと、塩崎さんは思っています。
「これまで意識して経験を積んできたつもりですが、まだまだです。色々なことを教えてくださる方がまわりにたくさんいますので、良いところを盗んで、自分のものにしていきたいと思います。今までアドバイスをくれたすべての方が、あこがれの存在です。」
(気づきやアドバイスをまとめたノート。BFLに初めて見学に来た時から、今もずっと知識をストックしている)
「(正確なのは当たり前、ミスジャッジは許されない世界なので)ジャッジすることへのプレッシャーや、間違いを恐れる気持ちはあります。でもぶれずに、毅然とした態度で臨んでいます。」
一番の目標はNPBの審判員
(NPBアンパイア・スクール修了証書)
塩崎さんは、NPBの審判員を目指す期間を、大学卒業までの間と決めています。一方で、来年から始まる就活に向けて、審判以外の仕事という選択肢も考えているそうです。そのひとつがアナリスト。サッカーやラグビーで注目されている職業で、野球にも活かせると考えています。
「ただ、どんな仕事に就くにせよ、審判はやっていたいと思います」
これから審判を目指す人へ
「審判を目指すといっても、何をしていいかわからない人が多いと思います。難しく感じる人もいるかもしれません。でも、わからないことがあっても、教えてくれる人はかならずいます。どんどん聞いていくといいと思います。(プレーするのとはまた違った)審判でしか味わえない面白さがあるので、ぜひ挑戦してください。」
***おまけ***
聞いてみた①審判目線で見る、観戦ポイント
「見てほしいというポイントは、ふたつ。ひとつはカンドク独自の2人審判制。もうひとつは審判の個性です。」
「日本のプロ野球では4人審判制が一般的ですが、カンドクは2人審判制。人数が少なくても正確にジャッジできている点を見てほしいです。また、審判さんによってストライクや三振のアクションなどに個性があるので、そこも注目ポイントですね。とはいえ、自分はまだ2年目なので、基本に忠実であることが大切。独自のアクションはしていません。」
(人によって異なるストライクのアクションを説明する塩崎さん。個性を出すには十分な経験年数が必要。NPBも同様とのこと。)
聞いてみた②試合前後の動きを知りたい
「試合がある日は開始3時間前に球場入りします。アップ用の服に着替えて、グラウンドでアップ。アップしながら、選手達がバッティングしているところを見て、シミュレーションをしています。ゴー・ストップ・コール(声出しと基本動作の訓練)もしますね。試合のあとはほぼ毎回反省会。知識を共有しています。今までで一番長かった反省会は4時間です!」
*********
(文:さかたえみ)