前回に続き、和歌山ファイティングバーズのキャプテン、西河洋樹捕手(右)と杉本大樹投手(左)のインタビューをお届けします。この日のやりとりで、杉本投手のニックネームが「ウサギ」に仮決定しました。杉本投手が「ウサギ」と言われるその理由とは……?
【5】オフの過ごし方
杉本「理想のオフは、のんびりすること。でも実際のオフはアルバイトをしています」
西河「僕もアルバイトですね」
西河「だから私服らしい私服もないですね。いつもジャージかスウェットにパーカーって感じです。どこか出かけるとなったら、ジーパンにパーカーを着ます」
杉本「どっか出かけることなんてあるん?」
西河「あるって!」
西河「今日着てる服みたいな感じの服を着ています」
杉本「いやいや、今日はインタビューを気にしてキレイなの着てる方ですよ。いつもはもうちょっとヨレてますよ」
西河「いやいやいやいや、だいたいこんなんです。僕、私服に無頓着なんですよね。大学の時に一回、私服を勉強しようと思ったんですよ、大学デビューしようとして。無理だとわかったんで、あきらめました」
杉本「なんなん、私服勉強するって……笑」
杉本「たとえばバーとか、ちょっとオシャレなところに飲みに行くとき、ふつう服に気をつかうじゃないですか?僕が準備して部屋を出て、西河さんをふと見たら、こんな服で立ってるんですよ。西河さんはそのままのかっこうで行きますからね」
西河「僕は誰に見られてるとか、あんまり気にしないもんで……」
杉本「とはいえ、あんまり飲みにも行かないですけどね」
西河「兵庫や大阪みたいに、飲めるところたくさんないもんね」
杉本・西河「野球に打ち込める環境ではあるよね」
西河「最近は、コロナウイルスの影響でみんなで出かけることもできないので、近場で釣りをする選手が多いですね」
※実際に和歌山の選手にアンケートを取ったところ、多くの人が趣味を釣りと答えました。
【6】チームメイト
西河「基本的に、チームはみんな仲がいいです。杉本と一緒にいることが多いですけど、ほかの選手とも楽しくやってます。僕はキャッチャーなんで、とくにピッチャー陣とよく関わりますね」
杉本「チーム内で一番長く一緒にいるのは西河さんです。試合でも練習でも、ほぼ西河さんにボールを受けてもらっています。寮やブルペンでは、どういう風なリードをしてほしいか、といった話をしたりしています。でも西河さんにホメられることは基本的にないですね。『調子に乗るから』って言われます」
西河「ホメませんね!(断言)」
(調子に乗っているときの杉本投手)
西河「杉本とはいっつもこんな感じです。ケンカ寸前までいくこともあるぐらい、こんなやりとりをしています。こういう関係性は、杉本とだけですね。ふたりで絡んでいるときは、他の選手たちはやりとりに入ってこないです。まぁ相手をしてあげないと、杉本はさみしくて死んじゃいそうなので……」
杉本「僕から西河さんに絡みに行ってるみたいな言い方ですけど、西河さんもけっこうこっちに来ますからね」
西河「かまってあげないと、杉本が離れたところからジッと見てくるんですよ。それであとからふてくされるんです。嫉妬の多いウサギやなぁ。もう、ニックネーム『ウサギ』でええんちゃう?」
杉本「勝手に言っとけばいいやん、もう!」
【とっておきの1枚(高校時代)】
藤井学園 寒川高校時代の杉本投手。
小学生のころの西河捕手。野球チームでの写真。
【取材後記】
笑いが絶えず、関係性のよさが見えたインタビュー。そして、チームの雰囲気のよさも感じたインタビューでした。
「このインタビューが終わったらすぐ、大ゲンカですよ。後ろの『頂』がバリバリに割れているぐらいもめますね」と言う西河捕手に対し「大丈夫です、僕の方が強いんで!」と返す杉本投手のやりとりで、この日のインタビューは終了しました。
仲が良いのか悪いのかわからないふたりの様子を、河原監督は「ハッピーセット」と呼んで頬を緩めているのだとか(田所球団代表談)。
球場でふたりに会ったら、どちらがケンカに勝ったのか聞いてみてくださいね。
(そんなことを言いながらも、190センチという長身の杉本投手のために、カメラの位置を調整してあげる西河捕手)
文 さかたえみ
写真 さかたえみ、選手提供